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飲食業におけるM&Aトラブルが増加しています。

飲食業におけるM&Aトラブルが増加しています。

当事務所では、飲食業に関するM&Aトラブルのご相談も多数頂戴しております。

事業譲渡を中心に、店舗の売買やブランドの承継が活発に行われている一方で、契約の不備や人材の引き継ぎ、店舗契約の問題など、飲食業界特有のリスクが顕在化するケースが少なくありません。

以下では、実際に寄せられるご相談内容をもとに、飲食業界におけるM&Aトラブルの典型例と予防策を整理いたします。

<飲食業界で頻発するM&Aトラブル>

1. 契約内容の不備

 – 事業譲渡契約書における「譲渡対象資産」の定義が曖昧

 – 備品・什器・食材在庫の評価方法に齟齬があり、譲渡後に紛争化

 – リース契約やサブスクリプション契約の承継漏れ

2. 従業員の引き継ぎ問題

 – 雇用契約が口頭ベースで、買収後に労務トラブルが発生

 – 労働条件の変更により、キーマンスタッフが離職

 – 社会保険・雇用保険の手続き漏れによる行政指導

3. 店舗賃貸借契約の承継トラブル

 – 賃貸借契約が定期借家で、更新拒否により移転を余儀なくされた

 – オーナーの承諾が得られず、契約解除リスクが発生

 – 原状回復義務の認識違いによる追加費用の発生

4. 売上・利益の虚偽申告

 – 過去の売上データが現金ベースで改ざんされていた

 – 税務申告との整合性が取れておらず、買収後に税務調査が入った

 – 営業利益の水増しによる過大評価

<トラブルを防ぐための実務ポイント>

 – 契約書の精緻化

 事業譲渡契約において、譲渡対象・除外対象を明確に記載。表明保証条項や違約金条項の設計も重要です。

 – デューデリジェンスの徹底

 財務・法務・労務・店舗契約を網羅的に調査。実地確認や従業員ヒアリングも有効です。

 – 賃貸借契約の事前確認と交渉

 店舗契約の承継可否を確認し、オーナーとの三者合意書の締結を検討します。

 – 従業員対応の丁寧な設計

 雇用条件の維持・変更に関する説明と同意取得。労働法令に基づく手続きの漏れ防止が不可欠です。

<飲食業のM&Aトラブルは、弁護士にご相談ください!>

飲食業界のM&Aはスピード感が求められる一方で、契約・人材・店舗という“見えにくい資産”の継承が成功の鍵を握ります。

「譲渡は済んだが、運営がうまくいかない」「契約内容に不備があった」などのお悩みがございましたら、ぜひシャローム綜合法律事務所までお気軽にご相談ください。

飲食業界特有の実務と法務の両面から、丁寧にサポートいたします。

(弁護士 中川内 峰幸)

美容サロンM&Aの落とし穴──施術者の退職、財務不透明、店舗契約の“見えない壁”に注意

美容サロンM&Aの落とし穴──施術者の退職、財務不透明、店舗契約の“見えない壁”に注意

美容室やエステサロンのM&Aに関するご相談を頂戴することも、最近かなり増えております。

調剤薬局や介護業界に並び、美容業界も、人材依存・地域密着型という特性を持つため、M&A後の運営体制が整わないことで収益悪化に陥るケースが少なくありません。

特に美容業界においては、次のような特有のトラブル類型が散見されます:

– キーマンとなる施術者が買収後に退職し、顧客離れによって売上が急減

– 店舗の賃貸契約が「定期借家契約」で、買収後に更新拒否で移転せざるをえなくなった

– 売主が過去の売上を現金ベースで管理しており、実態が帳簿と乖離していた

– 技術や接客がオーナー依存だったため、買収後に店舗ブランドの価値が急落

– スタッフ雇用契約が口約束で、引き継ぎ後に労務トラブルに発展

これらのリスクは、表面上の財務資料や営業報告だけでは見抜きづらく、デューデリジェンス(法務・財務・人材の調査)と、契約構造の設計が極めて重要になります。

特に、個人経営のサロンを譲渡する際など、きちんとしたM&A仲介会社を入れずに、マッチングサイトでお店の売買をされている方が少なくありません。当然、契約書の内容も杜撰なものとなりますし、そもそもDDなど行っていないような場合も珍しくありません。そのような場合には、事後的に損害の回復を図ることも、非常に困難なものとなります。

美容業界はブランド力・接客品質・リピート率が事業の根幹を支えているため、M&Aを成功させるには、見えにくい資産=信頼・人材・技術の継承に十分な配慮が求められます。

美容サロンのM&Aで「失敗したかも…」と思われた方も、シャローム綜合法律事務所までどうぞお気軽にお問い合わせください。

不動産業界におけるM&Aの落とし穴──契約・免許・簿外債務の“三重リスク”に要注意

不動産業界におけるM&Aの落とし穴──契約・免許・簿外債務の“三重リスク”に要注意

不動産業界でも、近年M&Aに関するご相談を頂戴する機会が増えています。

薬局や介護業界と同様に、事業承継・営業エリア拡大・人材確保といった課題を背景に、M&Aは実に活発です。

とはいえ、個人経営の不動産会社や小規模法人を中心としたM&Aでは、譲渡後に「想定外のリスク」が顕在化するケースも多く、注意が必要です。

特に不動産業界の場合、以下のような業界特有のトラブル類型があります:

– 宅建業免許の継承手続きが不備で、営業が一時停止

– 営業保証金・保証協会の加入変更を怠り、実務が回らなくなった

– 売主側が過去に未処理の媒介契約・クレームを抱えていた

– 買収後に反社会的勢力との過去取引が判明し、事業停止に

– 地主や借地権者との関係が非書面で、交渉が不調に終わった

また、不動産会社の場合は「簿外債務」や「不動産の名義・登記と実態の不一致」など、帳簿では判断しづらいリスクもつきまとうため、買収時の法務・実務調査が極めて重要です。

不動産業界で「こんなはずでは…」となった方も、シャローム綜合法律事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

医療法人・クリニックで起こるM&Aトラブル

医療法人・クリニックで起こるM&Aトラブル

医療法人やクリニックのM&Aに関するご相談も、近年増加傾向にあります。

薬局や介護業界と同様に、後継者不在・地域医療の維持・制度対応といった課題を背景として、医療分野でもM&Aが活発化しています。

とはいえ、医療業界のM&Aは、一昔前の「個人開業医の承継」から、現在では医療法人間の再編や、異業種からの参入による買収へと変化しています。

しかし依然として、中小規模の医療法人・クリニックの譲渡が多く、それに伴うトラブルも少なくありません。

特に医療業界の場合、以下のような業界特有のM&Aリスクが存在します:

– 医療法人の持分払戻しが高額になり、資金繰りが破綻(金融機関からの融資も難航)

– 診療報酬請求(レセプト)に不備があり、行政指導や返還命令が発生

– 医師・看護師の退職により診療体制が維持できなくなる

– 医療機器の故障や契約不備が買収後に判明

– 行政手続き(保健所・厚生局等)に漏れがあり、診療継続に支障が出る

これらは、表面上の財務資料だけでは見抜けないことが多く、医療法・労働法・税務・行政手続の複合的な視点が必要になります。

医療法人のM&Aで「こんなはずでは…」となった方も、シャローム綜合法律事務所までどうぞお気軽にご相談ください。

(弁護士 中川内 峰幸)

製造業のM&Aトラブル

製造業のM&Aトラブル

製造業のM&Aは、事業承継やグローバル展開の一環として活発化しています。

ただしその一方で、簿外債務・設備投資・人材不足などの目に見えにくいリスクが多く、買収後に想定外のコストが発生するケースも珍しくありません。

当事務所にも、製造業のM&Aでトラブルに発展したとしてご相談に来られる方が少なくありません。

特に、地場の中小企業を対象としたM&Aでは、帳簿上の数字では把握できない「現場の勘」が求められる場面も多く、法務と実務の融合がカギとなります。しかしその点につき詳細なデュー・デリジェンスの実施が欠如していたり、あるいはその結果を契約書に落とし込む作業が杜撰だったりした場合に、大きな紛争となりえます。

代表的なトラブル類型は以下の通りです:

– 工場設備の減価償却が不適切で、保守費用が想定以上にかかった

– 原材料在庫の評価が杜撰で、実は劣化品(陳腐品)が多数混在していた

– キーマンの退職後に取引先との関係が崩れた

製造業のM&Aで失敗したという方も、シャローム綜合法律事務所にぜひお任せください。

(弁護士 中川内 峰幸)

調剤薬局のM&Aトラブル

調剤薬局のM&Aトラブル

調剤薬局のM&Aでトラブルが発生したというご相談を頂戴することが少なくありません。

IT、製造、介護、不動産、美容、教育あたりの業界においてM&Aが実に活発ですが、調剤薬局の業界においても、未だM&Aは盛んですね。

とはいえ、一時と比べ、その内容は変容してきているようです。パパママ薬局と呼ばれる小規模薬局の譲渡が多かった時期を経て、近年では、大手調剤薬局間のM&Aや、ドラッグストアチェーンによる買収が進行しています。しかし依然として調剤薬局業界における中小M&Aの数は非常に多いことから、それに付随して、M&Aトラブルも多発しています。

特に調剤薬局業界においては、人材依存度が高く、地域密着型であることから、買収後の運営体制が整わないと収益悪化リスクが高いという特色があります。買収後にキーマンとなる薬剤師が退職し、新規の採用にも失敗したというケースは珍しくありませんが、これは他の業界にも共通するM&Aの難しさでもあります。特有のトラブル類型としては、保険請求の不備による行政指導を受けたというケースも目にします。

薬局のM&Aで失敗した!という方も、シャローム綜合法律事務所まで是非お気軽にお問い合わせください。

(弁護士 中川内 峰幸)

ダイヤモンド・オンライン「M&A仲介業界が再び戦慄!中小企業を少なくとも19社買収した~」

ダイヤモンド・オンライン「M&A仲介業界が再び戦慄!中小企業を少なくとも19社買収した~」

標記の記事に触れました。

M&A仲介業界が再び戦慄!中小企業を少なくとも19社買収したマイスホールディングスを元子会社が提訴、2社を引き合わせた大手M&A仲介会社とは? | M&A仲介 ダークサイド | ダイヤモンド・オンライン

M&Aの後、親会社が買収した子会社の資金を吸い上げ、当該子会社が破綻するというケースが散見され、問題視されていますが、これを不法行為と構成して訴訟を申し立てたようです。

原告は元子会社ということですので、M&A後に元オーナーが株を買い戻したようです。買戻しができないケースも多いですが、買戻しが実現した本ケースのような場合には、元子会社が原告となって損害賠償を請求する道も開けます。訴状を見てみたいところですね。

(弁護士 中川内 峰幸)

【日経】中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化

【日経】中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化

標記の記事に触れました。

中小企業のM&A仲介に資格制度 26年度、トラブル防ぎ市場活性化 – 日本経済新聞

M&A仲介業にようやく資格制度が創設されるようですね。

米国を参考に、制度運営は民間に委託するとのことですが、是非とも実効性のある内容としていただきたいです。

仲介会社が杜撰な業務を行ったことにより、売主・買主が被害を被ったという悲惨なケースのご相談は、私のもとに日々寄せられています。

この資格制度によって仲介会社のレベルが向上し、また悪質な仲介会社が淘汰されればと心より願いつつ、引き続き注目していきたいと思います。

(弁護士 中川内 峰幸)

弁護士によるM&Aの契約書チェックを承ります!

弁護士によるM&Aの契約書チェックを承ります!

その株式譲渡契約書、大丈夫ですか?

中小M&Aにおける契約書の重要性に関しては以前のブログでも記載しましたが、M&A実施後のトラブルのご相談を日々・多数頂戴するにつけ、成約前の契約書チェックがいかに大切であるかを痛感しております。

これは「front-end transaction costs」と「back-end transaction costs」の問題ともいわれます。前者は、事前に弁護士費用をかけて細かい契約書を作って、事後のM&Aトラブルの発生を防止しようとする考えで、後者は、契約書はコストをかけずに作成した上で、後々のM&Aトラブルは事後的に解決すれば足りるという考えです。こう聞くと、どちらも一理あるような気がしてきますが、これは大規模なM&Aに関しての議論ではないかと考えます。後継者問題を背景に昨今増加している中小のM&Aのようなケースにおいては、事前の弁護士による契約書チェックを受けたとしても、それが過大な負担となるほどのコストとは通常なりえません。むしろ、なけなしのリーガルチェック費用を惜しんだがゆえに、後日相当な金額を相手方から請求されるという事態になりかねません。また、経済的な問題だけでなく、相手方からの請求への対応や応訴の煩を踏まえると、時間的・労力的なコストも要することとなりえます。正に「損して得取れ」ということです。

当事務所が注意喚起を申し上げたいのは、次のような事項です。

 どのような小さな案件であれ、後日の紛争を未然に防ぐためには、弁護士による事前の契約書チェックが必要です!

 M&Aポータルサイトからダウンロードした契約書の内容を理解することなくそのまま利用するなど、危険極まりない行為です!

 また、両手取引の仲介会社は、あなたの味方ではありません。「仲介会社が作成した契約書だから安心だ」と考えることも早計です!

成約の前に、弁護士によるリーガルチェックをご利用ください!

そのような考えから、当事務所では、従来は、既に発生してしまったM&Aトラブルに関して事後的な紛争解決(示談交渉・訴訟等)のお手伝いをしておりましたが、この度より、契約締結前のリーガルチェックのご要望にもお応えすることとなりました。

譲渡価額が低く、「このような取引には弁護士によるチェックは必要ないだろう」という案件こそ、後々紛争になった際に「泣き寝入り」を強いられる傾向が高いと言えます。特に、「1円譲渡」などといった場合には、相手方が問題ある悪質な買主の可能性も疑われますので、弁護士が契約書チェックをするに際して、そのあたりの被害発生も防止できればと考えております。これは振り込め詐欺を未然に防止するような作業ですね。

契約書チェックの弁護士費用は、事案や契約内容の複雑性により異なりますが、比較的簡易なケースにおいては、5万円+税~で承ることを想定しております。詳しくはお見積もりさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

なお、M&Aトラブルに関しましては、全国対応しておりますので、遠方のお客様からのお問い合わせもお待ちしております。

M&Aトラブルを未然に防ぐために、弁護士によるリーガルチェックを是非ご検討ください!

M&Aにおける契約書の重要性

M&Aにおける契約書の重要性

M&Aの実施後、不幸にも契約の相手方とトラブルとなってしまった場合、まずは訴外での交渉を行うこととなりますが、これが奏功しなかった場合、裁判所に訴訟を申立てるということとなります。

多くの場合は、金銭請求という形で相手方へ請求をなすこととなると思われます。そしてその場合、請求する側が、その請求権の存在を証拠でもって立証しなければなりません。証拠としては、争点との兼ね合いで様々なものが想定されますが、まずもって重要となるのは、契約書です。株式譲渡であれば株式譲渡契約書、事業譲渡であれば事業譲渡契約書ですが、タイトルは特にどうでもよいのです。最終契約書などと題する場合もあるでしょう。

さて、裁判所が証拠により事実を認定する場合、処分証書を重視します。処分証書とは、意思表示その他の法律行為を記載した文書であり、処分証書の例としては、判決書のような公文書のほか、遺言書や売買契約書などがよく挙げられます。M&Aにおいて作成される上記契約書も、処分証書と解されます。つまり、訴訟をする上では、極めて重要で基本的な証拠となります。しかし、この契約書が実に杜撰な例が多いのです(念のため申し上げておきますが、中小のM&Aに関するお話です。)。

ポータルサイトを利用したM&Aの場合には、当該サイトからダウンロードできる契約書の雛形を、当事者が必要に応じて修正の上利用するということがあるようです。ですので、内容的には滅茶苦茶というケースが少なくありません。事業譲渡の譲渡対象物が記載されていないという契約書も見たことがあります。また、間に仲介会社が入ったという案件でも、当該案件の特殊性に即して通常の契約の特則を置いたりする場合、同特則の規定内容が十分に練られておらず、これが元となり後々トラブルに発展するというケースも目にします。

契約書は、売主と買主の間で形成された合意内容を推認させる処分証書であることから、一旦これを作成(署名・押印)してしまった以上、後になって「そのようなことを約束した覚えはない」などと言ったところで、それを覆す(法的拘束力を争う)には多大な困難を伴います。ですので、契約書の重要性を十分認識した上で、「M&A仲介会社が作成したものだから大丈夫だろう」「あまり細かいことを言うと相手方の気分を害してしまうのではないだろうか」などと考えたりせず、不安があればその点をきちんと解消してから調印すべきです。後々のM&Aトラブルを防止するためには、事前に弁護士による契約書チェックを行うことが最も重要と考えます。

さて、しかしそのようなチェックを経ずに、実際にトラブルになってしまった。そして契約書の内容が実に心もとない。そのような場合にも、今からリカバーが可能かどうか、是非お問い合わせください。詳しくご事情をお聞きして、お客様の事案に則した最もベターな解決法を検討させていただきます。

(弁護士 中川内 峰幸)

表明保証違反等のM&Aトラブルのご相談は、シャローム綜合法律事務所へ!