【M&A】表明保証違反を主張された訴訟で勝訴しました。

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この度、実に3年超を要した訴訟が無事終了し、完全勝訴の結果となりました。M&Aに関する紛争でした。

事案は、請求が複数存在して極めて複雑なのですが、主たる事件としては、株式譲渡により会社の経営権を譲渡した際に、売主が収益に関する虚偽の説明をした結果損害を被ったとして、買主より不法行為に基づき損害賠償請求をされていた件につき、当事務所は、売主の訴訟代理人となり債務不存在確認請求訴訟を提起しました。その後別訴(買主から売主に対する損害賠償請求他)も併合されて、高裁まで争われました。

結果として、一審・二審共に当方の勝訴判決となりました。

なお、少し気になった点としては、原審判決が、買主側の上記請求につき、「表明保証自体から、売主に買主に対する何らかの債務が発生するものではない。表明保証違反に基づく損害賠償請求権は、本件株式譲渡契約に基づいて発生する約定のものに過ぎず、本件株式譲渡契約から離れて、売主の表明保証違反により、買主の売主に対する不法行為に基づく損害賠償請求権があるとは認められない。したがって、売主の表明保証違反の有無にかかわらず、買主の売主に対する不法行為に基づく損害賠償請求は認められない」と判示して、相手方の請求を棄却した点です。

争点としては、売主に表明保証違反があったか、あったとしてそれが民法709条違反を成立させるかという点でしたので(そのように争点整理がなされ、訴訟物も確認されました。)、この半ば門前払いのような原審の立論には、勝訴判決を得たこちら側としても少々面喰いました。おそらくは、表明保証の法的性質に関しては損害担保説が通説とされているところ、(事情があり)買主側が法律構成を損害賠償に基づく損害賠償請求としたところに原因があるのではないかと思われます。

その後、控訴され、大阪高裁では、表明保証違反の有無につき詳細に事実認定がなされ、結果、同違反が認められないことから不法行為が成立しないとの判断に至り、結論としては原審と同じく当方の主張が全面的に認められました。が、原審も上記門前払いなどせずに、高裁と同様に事実認定をしっかりしてくれていたら、そもそも相手方は控訴もせずに早期に判決は確定していたのではないかと思われました。上記原審の判断が理論的に正しいのか、私も考えてはみたのですが、今も分からずじまいです。高裁の裁判官もこの点につき疑問を有していたようで、進行協議期日を設けて原審における進行内容につき質問されました。

いずれにせよ、長期に渡る訴訟がよい結果で終了し、ご依頼者には大層喜んでいただけました。ご依頼者にとっては、結果がすべてであり、理論的な内容如何は関心外の事項ですからね。

さて、このように、M&A(株式譲渡・事業譲渡等)における紛争についても承っております。近年、仲介業者が自らの利益優先で乱暴なスキームを組んで案件をクローズさせてしまう事例も散見されます。契約の相手方のみならず、仲介業者に対する紛争に関してもお気軽にお問い合わせください。