2026/01/26

「医療機関の倒産、休廃業・解散 2年連続で過去最多を更新」(帝国データバンク)
標記の記事に触れましたが、医療機関の経営は想像以上に厳しい状況にあるようです。
実際、当事務所にも開業医や歯科医師の方からの債務整理のご相談が増加傾向にあります。材料価格や医療機器メンテナンス料の高騰に比して診療報酬が上がらず、逆ザヤが拡大し、人件費を上げなければ人員も確保できない──その結果、経営体力がもたなくなるというケースが目立つようです。
また、クリニックや歯科医院のM&Aトラブルに関するご相談も同時に増えてきております。
債務整理とM&Aトラブルという一見異なるテーマですが、両者には「経営不振」という構造的問題が通底しているように思われます。
記事のとおり、医療機関の倒産理由で最も多いのは「収入の減少」です。
中小企業のM&Aでは後継者不足が主な理由となることが多い一方、経営不振により事業を売る(買う)場合には、トラブルに発展しやすいという特徴があります。
かつて大きな問題となったいわゆる吸血型M&Aも、振るわない事業を1円で売買し、経営者保証の引継ぎを目的とする取引が多かったとされています。そもそも赤字の会社を購入するという話が出た時点で、その目的や背景を慎重に見極める必要があるのは言うまでもありません。
医療機関のM&Aにおいても同様で、譲渡理由の調査・確認は必須ですし、契約書の作成には一層の注意が求められます。
クリニックを引き継いで独立しようとお考えの若いドクターも多いかと思われますが、見切り発車ではなく、きちんとした事業計画に基づき、確実に軌道に乗る確信を得てからスタートしていただきたいところです。その際、足元をすくわれないよう、事前の契約書チェックは欠かせません。
そして、不幸にもクロージング後に問題が発生してしまった場合には、早めにご相談いただければと思います。
(弁護士 中川内 峰幸)