2024/09/12
Q. 婚姻費用の調停成立後に、義務者(支払う側)が自己破産をした場合、婚姻費用を請求することはできるのでしょうか?
A. 離婚や別居後、義務者(支払う側)が婚姻費用の支払い義務を負っている状況で、その義務者が自己破産をした場合、婚姻費用を請求できるかどうかについて不安になる方も多いでしょう。結論から言えば、自己破産をしたとしても、婚姻費用は支払い義務が消滅するわけではなく、請求し続けることが可能です。
1. 婚姻費用とは?
婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係にある間に互いに生活費を負担し合う義務から生じる費用です。離婚していない場合でも、別居中であれば、収入の多い一方がもう一方に対して生活費を負担する必要があります。
2. 自己破産とは?
自己破産とは、借金や支払いが困難になった個人が裁判所に申立てをして、負債を免除してもらう手続きです。ただし、全ての債務が免除されるわけではなく、特定の種類の債務は免責(支払い義務の免除)されない場合があります。 自己破産によって免除されない債務の例として、以下のものがあります。
• 税金
• 養育費
• 婚姻費用
これらの債務は、破産者が自己破産後も継続して支払わなければならないものです。したがって、婚姻費用の調停が成立した後に義務者が自己破産した場合でも、受領者(婚姻費用を受け取る側)は引き続きその費用を請求することが可能です。
まとめ
義務者が自己破産したとしても、婚姻費用の支払い義務は免除されません。婚姻費用は子どもの生活費や配偶者の生活維持に重要な役割を果たすため、非免責債権として扱われます。
(弁護士 山本祥大)