2024/07/24
どのような方でも自己破産ができるというわけではありません。債務額がさほど大きくなく、かつ収入がそこそこおありの方は、破産がしたくても破産できないという場合があります。
たしかに、全ての債務を帳消しにできる自己破産は魅力的な手続です。任意整理ですと、将来利息をカットできたとしても、基本全額を分割返済していかなければなりませんし、個人再生の場合にも、原則5分の1は返済が必要となるからです。
しかし、自己破産を申立てるには(正確には「破産手続が開始されるためには」ということですが、あまり気にしなくても結構です。)、「支払不能」要件というものを満たす必要があるのです。
支払不能とは何か。破産法では、この支払不能を、「債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものについて、一般的かつ継続的に弁済をすることができない客観的状態にあること」と定義づけています(2条11項)。
平たく言えば、「月末の今回限り払えない」とかいうのではなく、今後もずっと払っていくことができない経済状態という感じですね。一部の債権者には支払ができたとしても、他の債権者には支払ができないという場合も、支払不能となりえます。そしてこれらは客観的に判断されますので、ご本人が弁済できないと思っていても、客観的に見て支払能力が認められるような場合には、支払不能要件を欠き、自己破産ができないということになります。
ですので、時々自己破産をご希望の上法律相談にお越しいただいたにも関わらず、ふたを開けてみると支払不能要件を欠くことから、任意整理でということになるお客様もいらっしゃいます。
具体的に支払不能要件を具備しているか否かは、債務の多寡や債権者の内訳・借入期間、また家計の内容やお持ちの財産といった情報をお聞きしなければ、判断することができません。債務の総額が大きくても、それ以上に資産(不動産など)をお持ちの方は支払不能ではありませんし、逆に債務額は僅少であれ、生活保護の方はそれだけで支払不能となります。また、一見任意整理が可能と思えるような案件でも、大口の債権者が任意整理に応じない場合には支払不能となりえます。このように、ケースバイケースなのです。ですので、とりあえずお越しいただき、法律相談を実施させていただければと思います。その上で支払不能要件につき確認して、選べる手段が自己破産なのか、個人再生なのか、任意整理なのか、あるいは他の方法があるのかについてご提案させていただきます。
借金問題でお困りの方は、神戸のシャローム綜合法律事務所までお気軽にお問い合わせください。相談は無料です。詳しくは、下のバナーをクリックください。
(弁護士 中川内 峰幸)