M&Aの表明保証違反──責任追及できないケースとサンドバッギングの実務

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◆ M&Aにおける表明保証違反とは何か

M&A(株式譲渡・事業譲渡)では、契約書に「表明保証条項」を設けるのが通常です。
売主・買主の双方が一定の事実を保証しますが、実務上中心となるのは 売主の表明保証 です。

中小企業のM&Aでは、財務DDのみで法務DDを省略するケースも珍しくありません。
そのため、買主は売主の情報開示に依存せざるを得ず、売主が「契約時点・クロージング時点で一定の事実が正確である」と保証することで、取引の迅速性と安全性を確保します。

表明保証の基本的な仕組みについては、
「買収後に発覚した「表明保証違反」──買主が取るべき初動対応と損害賠償の実務」

◆ 表明保証違反が発覚した場合でも「必ず責任追及できるわけではない」

表明保証違反は、買主が売主に補償請求できる典型的な場面ですが、
“違反があれば必ず補償請求できる”わけではありません。

東京地裁平成18年1月17日判決は、
買主が悪意(=事実を知っていた)または重大な過失であった場合、
売主の表明保証責任は否定される
と判断しています。

◆ サンドバッギング(sandbagging)との関係

買主が「売主の表明保証が事実と異なることを知りながら」取引をクローズし、
後から表明保証違反を主張する行為を サンドバッギング と呼びます。

上記判決は、

買主が違反事実を知っていた(悪意)

または、知らなかったことに重大な過失がある

この場合には、
売主は表明保証責任を負わない
と述べています。

つまり、

「最初から知っていたなら、後から補償請求はできない」
ということです。

◆ 訴訟では「買主が悪意かどうか」が争点になる

表明保証違反の立証責任は買主にあります。
一方、売主は
「買主は当該事実を知っていた(悪意)」「重大な過失があった」
と反論することができます。

そのため、

・契約交渉の経緯

・事前にどの資料を開示したか

・どの質問を行い、どの回答を得たか

・DDの範囲と限界

・メール・議事録・チャットの記録

これらの 交渉過程の証拠化 が極めて重要になります。

◆ 表明保証違反は「事前の準備」と「事後の証拠管理」が勝負

表明保証違反は、
契約書の文言だけで勝敗が決まるわけではありません。

・交渉経緯

・開示資料

・DDの範囲

・どこまで知り得たか

・どこまで調査すべきだったか

これらの総合評価で判断されます。

そのため、
売主・買主の双方が、交渉段階から証拠を残しておくことが紛争予防の鍵 となります。

◆ 表明保証違反でお困りの方へ

・表明保証違反を追及したい買主の方

・表明保証責任を主張されている売主の方

・仲介会社とのトラブルが発生している方

・DD不足・開示不足が疑われる案件

・クロージング後に重大な事実が発覚した案件

M&Aトラブルは、初動対応が結果を大きく左右します。
当事務所では、表明保証違反・仲介会社トラブル・DD不足・契約書の不備など、
M&A紛争の対応を多数取り扱っております。

仲介会社の説明不足が紛争化する典型例はこちら。→「M&A仲介会社に対する責任追及について、弁護士にご相談ください【M&Aトラブル】」

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