2026/05/26
【買収後に発覚した「表明保証違反」】
最近は「M&A詐欺」に関するお問い合わせも多く頂戴していますが、やはりM&Aトラブルで最も頻出なのは、「表明保証違反」のご相談です。
買主が取るべき初動対応と、損害賠償請求の実務
M&A後に、買収した会社の財務・労務・税務などに「想定外の問題」が見つかるケースは少なくありません。
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粉飾決算
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隠れ債務
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未払残業代
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税務リスク
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許認可の欠落
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重大なクレーム・訴訟の隠蔽
こうした問題が買収後に発覚した場合、 「表明保証違反(Representations & Warranties Breach)」 に該当し、 買主は売主に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
本記事では、 買主が取るべき初動対応、損害賠償の範囲、実務上のポイント を 弁護士の視点から整理します。
表明保証違反とは何か
表明保証とは、売主が買主に対して(逆の場合もありますが、本記事では売主の表明保証を念頭に置きます。)
「契約締結時点等で、一定の事実が真実である」
ことを保証する条項です。
典型的には以下のような内容が含まれます。
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財務諸表が正確である
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隠れ債務がない
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訴訟・紛争が存在しない
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労務・税務に重大な問題がない
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許認可が有効に維持されている
そして重要なのは、
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売主に故意・過失がなくても責任を負う(無過失責任)
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「知らなかった」は免責にならない
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詐欺より立証が容易
という点です。
買収後に発覚する典型的な表明保証違反
● 粉飾決算
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売上の架空計上
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費用の先送り
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在庫の水増し
● 隠れ債務
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未払残業代
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未納税金
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未計上の借入
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退職給付債務の過少計上
● 許認可・コンプライアンス違反
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許認可の欠落
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個人情報保護違反
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労務管理の重大な不備
● 訴訟・クレームの隠蔽
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重大な顧客クレーム
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取引先との紛争
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行政処分の可能性
【事例】買収後に粉飾が発覚したケース
A社(買主)は、B社(売主)を買収した後、 会計データを精査したところ、
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売上の架空計上
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在庫の水増し
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費用の先送り
が判明。
B社は「知らなかった」と主張しましたが、 SPAには「財務諸表が正確である」との表明保証が明記されていたため、 無過失責任として補償責任(損害賠償義務)が認められました。
結果として、訴訟上の和解により、
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企業価値の毀損額
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再DD費用
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弁護士費用
が損害として認められ、 買主側が相当部分を回収できた事例です。

表明保証違反が成立するための要件
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契約書に表明保証条項が存在する
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契約時点で事実が真実でなかった
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損害が発生している
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因果関係がある
- その他、成立要件ではありませんが、補償に関する条項も請求するには必要です。
買主が取るべき初動対応(最重要)
表明保証違反は 初動が遅れると回収可能性が大きく下がります。
● ① 証拠保全
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会計データ
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メール
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勤怠データ
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税務資料
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社内文書
● ② 事実調査(デューデリの再実施)
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財務DD
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労務DD
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税務DD
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法務DD
● ③ 売主への通知
通知期限を過ぎると請求できなくなることがあります。
通常、SPAにはクロージング後1年~2年といった期間制限が設けられています。
● ④ 損害の算定
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隠れ債務
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企業価値の毀損
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調査費用
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弁護士費用
損害賠償の範囲
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企業価値の毀損
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隠れ債務の補填
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調査費用(再DD)
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弁護士費用(契約書で認められる場合)
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逸失利益(ケースによる)etc.
売主側の典型的な反論とその対処
● 「知らなかった」
→ 無過失責任なので関係なし。
● 「買主は表明保証違反の事実を知っていた」
→ アンチ・サンドバッギング、プロ・サンドバッギングの問題となります。詳しくはお問い合わせください。
● 「損害がない」
→ 企業価値の毀損を財務データで説明。
● 「因果関係がない」
→ DD報告書・財務資料で立証可能。
実際の交渉・訴訟の流れ
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事実調査
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売主への通知
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協議
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交渉
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訴訟
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和解・判決
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回収
まとめ:表明保証違反は「M&A詐欺」より立証しやすく、回収可能性が高い
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詐欺よりハードルが低い
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契約書に基づく請求なので強い
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初動対応が極めて重要
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M&Aトラブルに精通している弁護士の関与で、回収可能性が大きく変わる
M&A後に問題が発覚した場合、「詐欺ではないから無理だ」と諦める必要はありません。
表明保証違反は、 契約書に基づく強力な請求手段 です。
【ご相談はこちら】
M&A後に、
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粉飾が見つかった
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隠れ債務が発覚した
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労務・税務の重大な問題が判明した
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売主が協議に応じない
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損害額の算定が難しい
といった状況でお困りの場合は、すみやかにご相談ください。
初動対応の遅れは、回収可能性を大きく下げます。
表明保証違反・M&Aトラブルの対応経験が豊富な弁護士が、 事実調査から交渉・訴訟まで一貫してサポートいたします。
表明保証違反のご相談は、シャローム綜合法律事務所まで!
M&Aトラブルに関しましては全国対応しております。
国内であれば、お住まいに関係なく、まずはお問い合わせください。
【弁護士紹介】中川内 峰幸(なかがわち みねゆき)

・M&Aトラブル対応実績多数。
・表明保証違反やM&A仲介会社との紛争に精通。
・企業内弁護士として多数のM&A案件に携わる。現在はシャローム綜合法律事務所の代表弁護士。
・金融機関や中小企業からの相談多数。
・M&Aトラブルに関し、朝日新聞、週刊東洋経済、ニッキン、テレビ大阪、中日新聞、Yahoo!ニュース 等メディア掲載実績多数。
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