美容サロンM&Aの落とし穴──施術者の退職、財務不透明、店舗契約の“見えない壁”に注意

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美容室やエステサロンのM&Aに関するご相談を頂戴することも、最近かなり増えております。

調剤薬局や介護業界に並び、美容業界も、人材依存・地域密着型という特性を持つため、M&A後の運営体制が整わないことで収益悪化に陥るケースが少なくありません。

特に美容業界においては、次のような特有のトラブル類型が散見されます:

– キーマンとなる施術者が買収後に退職し、顧客離れによって売上が急減

– 店舗の賃貸契約が「定期借家契約」で、買収後に更新拒否で移転せざるをえなくなった

– 売主が過去の売上を現金ベースで管理しており、実態が帳簿と乖離していた

– 技術や接客がオーナー依存だったため、買収後に店舗ブランドの価値が急落

– スタッフ雇用契約が口約束で、引き継ぎ後に労務トラブルに発展

これらのリスクは、表面上の財務資料や営業報告だけでは見抜きづらく、デューデリジェンス(法務・財務・人材の調査)と、契約構造の設計が極めて重要になります。

特に、個人経営のサロンを譲渡する際など、きちんとしたM&A仲介会社を入れずに、マッチングサイトでお店の売買をされている方が少なくありません。当然、契約書の内容も杜撰なものとなりますし、そもそもDDなど行っていないような場合も珍しくありません。そのような場合には、事後的に損害の回復を図ることも、非常に困難なものとなります。

美容業界はブランド力・接客品質・リピート率が事業の根幹を支えているため、M&Aを成功させるには、見えにくい資産=信頼・人材・技術の継承に十分な配慮が求められます。

美容サロンのM&Aで「失敗したかも…」と思われた方も、シャローム綜合法律事務所までどうぞお気軽にお問い合わせください。