自動車産業の今後と法律問題について

交通事故のご相談が増えてきています。

職業柄、交通事故の悲惨さをよく知っておりますので、運転するときには人一倍気をつけるようにしておりますが、それでもやはり、慣れている道で急いでいる時や、あるいは眠い時など、注意が散漫となりますので気を引き締めなければならないと思います。皆さんも、日頃から安全運転を心がけていただければ幸いです。

さて、車といえば、法曹関係者の中では自動運転が話題となっております。自動運転時の事故が発生した場合の責任の所在等、検討を要する事項が山積みです。たとえば、現在の制度や法律は、自動車における「運転者」の存在を前提として構築されておりますところ、その「運転者」がいなくなった走行において、運行供用者責任はどこまで問えるのでしょうか?

自動運転のレベルは5段階に分けられ、現在では、自動ブレーキと車線をキープする機能の両方を備えた車両が日本でも一部市販されています。私はまだ乗ったことがありませんが、高速道路で前方の車の速度に合わせて車が勝手に速度を調整してくれて、また、車線を認識してハンドルが勝手に動くので大変便利だと知人から聞いたことがあります。ちょっと怖い気もしますが。これはレベル2の段階です。 レベル3になりますと、システムが全ての運転タスクを実施しますが、システムが対応できないときには人間が対応するという段階になります。レベル4、5以上になりますと、完全な自動運転となり、人間の応答は期待されないとされます。 レベル3以上の段階において運行供用者責任を問えるのかという問題に関しては、様々な議論がなされているようです。また、レベル3以上の自動運転においては、自賠責が免責となった場合や、当該事故がシステムに起因すると判断されるような場合、メーカーサイドに対してPL訴訟が提起される可能性が指摘されています。もっとも、この点に関しては、そもそもシステム自体が「製造物」に該当するかという問題もあり、法整備の必要性が提唱されておりますし、また、メーカーサイドにおいて企業秘密を開示しなければならない事態に直面することが想定されることから、何らかの解決策が必要なのではないかと指摘されているようです。

自動運転に関しては、安倍総理が、2020年東京オリンピックまでに無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転を可能とするべく制度やインフラを整備すると言及しておりますので、今後、益々議論が深まることと思われます。 と、もっともらしく書きましたが、以上は月間弁護士ドットコム21号の特集で覚えた知識です。もっと詳しく知りたい方は原文に当たって下さい。なかなか面白い記事でした。自動運転に関しては、交通事故を扱う弁護士は継続して動向を追っていく必要がありますね。

さて、個人的に自動運転以外に注目しているのは、EV(電気自動車)です。イーロン・マスクCEOが「テスラが破綻した」とエイプリルフールの冗談でツイートしただけで株価が大幅に下がったりと話題に事欠かない当該業界ですが、テスラに限らず、各社がEVにシフトしてきているようですね。将来的には、EVがガソリン車やディーゼル車のシェアを奪うのでしょうか??この点に関しては、専門外なので全くわかりませんが、EVが地球環境にクリーンであるのであれば、喜ばしいこととして歓迎しなければならないのかもしれません(ただし、発電のために化石燃料を燃やす火力発電が今まで以上に必要ということであれば、その意味では完全にはクリーンとは言えないのでしょうね。原子力発電に関しては様々な意見があるでしょう。)。 ところで、たわいもない私見ですが、車というものはそもそもフロントグリルが不格好だという考えを持っておりまして、EVでフロントグリルが無くなるのであれば(空冷のための必要はなくなるため、機能的には不要のようです。)、デザイン的には私好みの車が増えてくるのかなと思ったりします。 閑話休題。 現実に、将来的にガソリン車のシェアが縮小し、これによりガソリンの需要が減少するとなると、ガソリンスタンドのM&Aも加速することと思われます。実際、国内のガソリンスタンド数は近年減少しており、また、業界大手の間では、提携やM&Aが加速しています。旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油の統合会社であるJXTGホールディングスは、業績が好調のようですね。本当かどうか知りませんが、全ての業界は、最終的には数社に収斂されるという見解も聞いたことがあります。弁護士としては、このような各業界のM&A動向も気になり日々注目しております。 また、自動車産業に話を戻しますと、カーシェアリングに関しても注目すべきと考えますが、長くなりましたので、この点に関しては、また別の機会に書きたいと思います。

(弁護士 中川内峰幸)