法律Q&A

 

法律Q&A

Q1.内容証明郵便とは?

内容証明郵便とは郵便の一種であり、法律的トラブルの解決手段として用いられます。またトラブルの予防にも効果的であります。普通の手紙なら相手が受け取ったかどうか証拠が無く、言葉なら言った言わないの問題が起こります。内容証明郵便は郵便局がその手紙の内容を証明し、相手に届ける手段であり、同じものを3通作成し、1通は相手方に、1通は差出人であるこちらに、そして1通は郵便局に保存します。内容証明郵便は法的な拘束力はありませんが、相手に心理的効果を与えるものであるので、弁護士は頻繁に活用するのであります。また内容証明郵便は相手方への宣戦布告でもありますので、使い方を間違えるとさらに大きなトラブルへと発展する可能性もありますので注意も必要とされます。さらに内容証明郵便に関して詳細をお知りになりたい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

Q2.クーリングオフとは?

訪問販売などで契約し商品を購入後に、一定期間無条件で契約を法的に解除できることを称してクーリングオフといいます。たとえば訪問販売で売買契約を結んだけれども、次の日に買わなきゃよかったと思ったときに、8日以内であるならば無条件で解約できるわけであります。また解約に際して解約理由を伝える必要もありません。あくまで無条件での解約が可能であります。
すべてのものにクーリングオフが適用されるのかというと、通信販売のように適用除外の契約もあります。多くの通信販売会社では法的なキャンセルではなく、独自の返品契約を設定している業者が多いようです。また販売方法によってクーリングオフの期間がそれぞれ設定されています。クーリングオフを適用するにあたっての注意事項は、必ず書面で証拠として残る内容証明郵便で送ることです。業者に口頭で伝えた場合、後からトラブルになることが多いので気をつけてください。
クーリングオフは発信主義が適用されますので、クーリングオフの書面が業者に到達した時点でなく、書面を発送した時点でクーリングオフの期間内であれば有効であります。今後高齢化が進み、訪問販売でのトラブルは益々社会問題化していくと思われるので、とても重要なテーマであると思われます。

Q3.迷惑メール防止法とは?

インターネットの普及にともない、老若男女を問わずインターネットメール(Eメール)を利用する時代となりました。そのEメールの普及とともに希望をしていない内容を一方的に送りつけてくるEメールも広まっており、迷惑メールと呼ばれています。未成年者の犯罪などあらゆる犯罪の温床となっています。
この迷惑メールを予防する法律が特定電子メールの送信の適正化などに関する法律(俗称:迷惑メール防止法)であり、以前は未承諾広告という表示さえあれば規制されないと言うもので、全く法律が効果を発していないとの国民からの批判が多くありました。そのため3度目の改正でオプトイン方式の導入、オプトイン方式とは受信者が許可しない限り一方的に送りつけてはいけないというものです。また罰則も100万円以下から法人の場合3,000万円以下まで引き上げられ、厳しいものとなっております。

Q4.連帯保証人とは?

あらゆる生活のシーンで保証人を求められる場合があります。車や住宅をローンで購入する時、また出産で入院する時の保証人を求めてくる病院もあります。保証人とは本人が弁済能力が無い時に、二次的に支払い義務が生じてくるものでありますが、連帯保証人は本人と連帯して弁済をしなければならないと云う立場になります。つまり本人が車を購入するにあたり、連帯保証人になった場合、連帯保証人自身も車を購入したこととみなされるわけであります。
気軽に連帯保証を引き受けて後に大きなトラブルになる事件が後を絶ちません。以前は保証契約に関して規定はありませんでしたが、気軽な気持ちで保証人を引き受けることを防ぐために平成16年に民法第446条が、書面または電磁的記録でしなければ効力が発生しないと改正された。という内容であることから保証人になることを依頼されたときはその保証がどのようなものであるかしっかり確認することと、不明な点は専門家に相談することをお勧めします。

Q5.六法とは?

六法とは毎年発行される法令集の呼称であります。六という数は6つの法分野、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法を本来は指しているわけでありますが、現在この六という数字に本来的意味はほとんどなく、法令を収録した書籍のことを「六法」、あるいは「六法全書」などと呼ばれています。実際法律の数は4千以上だと云われています。時限法や毎年改正、廃止が繰り返されておりますので1年前の六法は使用することができず、法律事務所では毎年最新版の六法を購入する必要があるわけであります。

Q6.新会社法とは?

1950年に商法が改正され、2002年に大幅に改正されたことを50年ぶりの商法大改正と云われています。2005年には現行商法の会社法より新しい会社法が成立致しました。これを新会社法といいます。
商法改正では、会計基準が国際会計基準(IAS)に従う形に変更されたり、またアメリカ式と云われる委員会など設置会社という形式を活用できるようになるなどの改正が行われました。世界基準での改正を通して世界に通用する会社を作るというものであります。そのような中で新会社法が成立し、以前は株式会社では1,000万円の資本金が必要でありましたがこの新会社法では“1円会社”といわれる最低資本金が撤廃され、1円からの設立ができるようになりました。これは新しく会社を創業しやすくするためのものであります。
また以前は株式会社と有限会社という形態でしたが、新会社法では有限会社が廃止され、株式会社と持分会社という形態にわかれ、持分会社の中にも社員の無限責任か有限責任かによって合名会社、合同会社、合資会社という3つの形態に分かれるわけであります。もともと株式会社とは大規模な会社を想定して作られた制度であるので、新会社法ではそれぞれの企業のニーズに合わせて会社形態を選択できるようになった面が大きな利点であると思われます。
商法大改正、また新会社法は会社経営者でさえ十分に把握するのが難しいと云われるほど、大規模な改革で多岐にわたる改革であります。

Q7.裁判外紛争解決手続きとは?

裁判外紛争解決手続とは、平成19年4月に施行された“裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律”のことであり通称ADR促進法、裁判外紛争解決法と呼ばれています。訴訟によらない紛争解決方法であり、訴訟大国と呼ばれるアメリカから輸入された制度であります。訴訟になると費用も時間もかかるというので、泣き寝入りする人も多いと思われますが、そのような事情から訴訟よりも簡単な手続でまた費用低額で問題解決を図ることができる制度として法律化されました。
ADRによる解決方法には当事者が和解案をだし、自主的に解決していく“和解の仲介”と第三者が判断をして紛争の解決をする“仲裁”があります。仲裁の解決案に合意した場合、裁判と同じ強制力が認められており、不服申し立てをすることはできないことになっています。主なADR機関として全国各地の国民生活センターや日本弁護士会連合会交通事故相談センターなどがあります。

Q8.憲法とは?

昭和20年(1945年)8月14日に日本は連合国が提示したポツダム宣言を受託しました。大日本帝国憲法、いわゆる明治憲法に代わり、新しい憲法を作成するために、連合国が日本政府に提示したのがいわゆる「マッカーサー草案」でありました。この草案には国民主権や象徴天皇制、また現在も議論されている戦争放棄などが規定されていました。その後、日本国憲法として昭和21年11月3日に交付され、翌昭和22年5月3日から施行されました。
憲法は国家の最高法規で、憲法の規定に違反する法律、命令、国務行為は無効となり、最高裁判所が具体的事件を通して無効と判断することができます。最近も市有地に神社が存立しているのは、公の財産を宗教上の団体などの利用に供してはならないとする憲法89条違反と判断したものがあります。
日本国憲法の3大原理は「国民主権主義」「永久平和主義」「基本的人権の尊重」であります。法律というのは、一般的に国民の権利自由を制限するのに対して、憲法は国民の権利、自由を守るために、国家権力に歯止めをかけるものであります。法律は名宛人が国民ですが、憲法は名宛人が国家機関となっていることからも理解できるわけであります。(憲法99条)
つまり憲法の名宛人が国民でないので、憲法規定は私人間には直接適用されないわけでありますが、基本的人権などの憲法の趣旨を、間接的に私人間にも及ぼすことにより、私人間の人権の保護を図ろうとする考え方を「間接適用説」と呼ばれています。
憲法9条の問題や、憲法改正の議論はこれからも重大な問題として議論されていくと思われますので、国民ひとりひとりが「憲法とは?」ということを認識していく必要があると思われます。

Q9.遺言書とは?

遺言(一般的には“ゆいごん”と言い、法律上は“いごん”という)とは当事者が死亡後に効力が生じる法律行為であります。その遺言と記載した書面を遺言書と言います。満15歳以上であるならば遺言をすることができますが、法律上有効な遺言をするためには、民法で定められた方式に従って行わなければなりません。遺産相続には法律で定められた法定相続がありますが、遺言書による相続は当事者の意思を尊重し、相続人以外の第三者にも遺産を相続することが出来ます。そのため本来の相続人から遺留分減殺請求という一部の返還を請求されることもあり、その時期や請求額の割合が決まっております。。米国では相続した資産の9割近くは金融資産に比べ、日本での相続は8割が住宅用の土地や建物であります。このようなわけで日本では遺産相続を難しくし、相続人間での争いが絶えず、いわゆる骨肉の争いにまで発展してしまうわけであります。そのような無用な争いを未然に防ぐためにも遺言書を活用することはとても有益であります。
日付や数字の書き方にもルールがあり、書式を間違えると遺言自体が無効になることもありますので、遺言をお考えの方は一度専門家に相談されることをお勧めします。

Q10.酒酔い迷惑防止法とは?

この法律は正式には「酒によって公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律」と云うとても長い名前の法律です。酒の法律では未成年飲酒禁止法や酒税法などはとても有名ですが、この法律はあまり知られていないのが現実であります。この法律は名の通り酒を飲んで、回りの人に迷惑をかけてはいけないというものであり、また迷惑をかけた時は勾留(1日以上30日未満)又は科料(千円以上一万円未満)に処せられるというものであります。また他人への飲酒の強要行為、即ち飲酒を無理に勧めたり、助けたりする行為(教唆或いは幇助と云います)も正犯者(本人)と同様に処罰されます。
わが国の風習で、お酒を勧められると断ることが出来ないと云うものがありますが、これもまた法律に抵触するかもしれないわけであります。お酒は自分の責任で、節度も持って、そして回りに迷惑をかけないでと云う法律であります。

Q11.契約自由の原則とは?

近代司法の三大原則には権利能力平等の原則、私的所有権絶対の原則、私的自治の原則とありますが、その中の私的自治の原則の中に契約自由の原則と云うものがあります。契約自由の原則とは契約をするかしないかを自由に決定することが出来るという“締結自由の原則”、誰と契約するのか自由に決めれるという“相手方自由の原則”、契約の内容を自由に決めることができるという“内容自由の原則”、契約の方法を自由に決めることが出来るという“方法自由の原則”の4つがあります。
個人主義的側面から契約自由の原則があるわけですが、この契約というものを逆手にとって、とても読むことが出来ないような小さな文字で内容を書かれていて、契約書にサインをしてしまった後にその契約書に書かれている内容に気づくなどのトラブラは後を絶ちません。
最近ではNHKの受信料支払いもこの問題であります。契約自由の原則からいくと、NHKの放送を受信したいという意思表示がないにも拘わらず、受信料を強制的に徴収されるのはこの契約自由の原則に反しているのではないかという訳であります。NHKとしてはテレビを購入すること自体が意思表示であるという法解釈をしている訳であります。
またこの契約自由の原則は社会的要請や実質的な私人の平等、私人の権利の保護と云った見地から制約がなされていますので、これらにも十分注意する必要があります。このように、契約とは解釈によっても大きく変わってくるので、慎重な対応をすることをお勧め致します。

Q12.改正貸金業法とは?

通称改正貸金業法とは平成18年12月に改正された“貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案”のことを云います。その主な内容としましては、
1、金利についてはグレーゾーン金利である年29,2%(出資法)が廃止され、出資法上限金利を20%に引き下げられ、これに違反すれば5年以下の懲役、若しくは1千万円以下の罰金に処せられ又は併科されますが、業者が年109,5%(閏年は109,8%)を超える場合の罰則が5年が10年に、1千万円が3千万円となります。
※出資法とは“出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律”というものです。
2、貸金業者としての最低純資産額が5000万円以上が必要となりました。(NPOバンク等は500万円以上となっています。) 3、総量規制と呼ばれるもので、平成22年6月より50万円以上の貸付の又は総借入残高が100万円以上となる場合には、年収の3分の1を超えて貸付けることは禁止される。
というものであります。貸金業法に関するご質問等、お気軽に弁護士までご相談下さい。

Q13.有責配偶者からの離婚請求とは?

裁判によって離婚を求めるには、民法770条に規定されている離婚事由が存在していることが必要になります。その原因を作った者を有責配偶者と云い、戦後の最高裁判所の判例では民法770条に規定している離婚事由が存在していたとしても、有責配偶者から離婚を提訴することは認められていませんでした。しかし、実質的な夫婦としての関係がないにも拘わらず、戸籍上のみ夫婦としての関係があると言うのは不合理であるとして昭和62年に最高裁は一定の条件の下で、有責配偶者からの離婚を認める判断したわけであります。有責配偶者からの離婚が認められた判例では、別居期間が相当期間に及んでいること、未成熟の子がいないこと、離婚することによって相手方が社会的に過酷な状態に置かれる事がないこと等があります。日本では有責配偶者からの離婚は認めないと云う考え方をしてきましたが、この考え方を有責主義と言います。特にアメリカなどでは有責配偶者からの離婚も認め、実質的に結婚生活が破綻しているのであるならば離婚を認めると言う考え方を破綻主義と云います。今後、日本においても、有責主義から破綻主義に移行していくといわれており、婚姻及び婚姻制度の民法の一部改正案も平成8年にまとめられました。

※民法770条 
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みが

Q14.親権とは?

親権とは子を持つ親が持つ権利又は義務のことをいいます。この権利又は義務と云うのは、子を監護、教育する監護教育権、子の居場所を指定する居所指定権、子の財産を管理する財産管理権などがあります。法律ではこの親権を行う者のことを“親権者”又は“保護者”と呼びます。民法818条には、未成年者は父母の親権に服するとあります。818条に片方の親が親権を行使できない場合、又819条には父母が離婚をした場合は父母のどちらか一方を親権者と定めなければならないとあります。また834条では、父母の両方が親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は父母から親権の喪失を宣告する場合があります。このように、未成年者に対して親権を行う者がいなくなった時は未成年後見人が選任されます。

先進国ではたとえ離婚したとしても、両親に親権を認めていますが、離婚した場合に片親のみに親権を認める国は先進国では日本だけであると云われています。しかし子が二重国籍の場合等、特別なケースで共同親権が認められています。共同親権、共同監護を認める意見が多くあるのも現実で今後も継続して議論されることと思われます。

Q15.DV防止法とは?

通称DV防止法とは2001年10月に施行された“配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律”のことを云います。DVとはドメスティック・バイオレンスの意味でドメスティックとは家庭内を意味し、その家庭内で夫から妻、或いは妻から夫への暴力を意味します。DVはあくまで夫婦間での暴力を指しますが、最近ではデートDVという言葉もマスコミなどで頻繁に使われていますが、デートDVとは交際中の男女における暴力行為等を指しますが、あくまでDVとは家庭内のことを云いますので、DV防止法とは配偶者からの暴力、あるいは婚姻届出は出していないが事実上婚姻関係のある者を云います。
第1条には配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動とあるように、この法律では暴力だけでなく言葉による有害な影響、つまり精神的暴力も含んでいるわけで、あります。しかし保護命令の対象になるのは身体に対する暴力のみで、精神的暴力は含みません。この保護命令とは“接近禁止命令”、“退去命令”、“未成年の子及び親族に対する接近の禁止命令”があります。接近禁止命令とは6ヶ月間、被害者の住居、勤務先などに近づいてはいけないといものです。退去命令とは2ヶ月間、被害者と共にしていた住居から退去しなければならないという命令であります。被害者はこの2ヶ月の間に転居先等を確保するための期間であります。子に対する接近の禁止命令とは、被害者がその成年に達していない子と同居している場合、その生命又は身体に危害を加えられることを防止するため6ヶ月の間、住居又学校、その付近に近づいてはいけないという命令であります。
平成16年にDV防止法が改正され、離婚後も暴力が継続している場合も対象となりました。
DVの被害者は、暴力から逃れた後もトラウマなどでその後の生活にも影響が残るのが現実であります。そのため国や地方公共団体の責務に被害者の自立支援が明記されました。

Q16.離婚協議書とは?

離婚する夫婦の9割が協議離婚であると云われています。その離婚後のトラブルを防止するために作成する文書を離婚協議書と云います。財産分与や親権の問題、養育費などを取り決め、文章として残します。
離婚する際に口約束だけなら、その約束を守らない事も十分考えれるわけであります。その約束を守らせるためには、裁判で判決を得なければならないのですが、そのような時に離婚協議書を作成しているならば、それが重要な証拠となるわけであります。
また、費用は通常の離婚協議書より若干高額になりますが、公正証書による離婚協議書を作成していると、裁判をする必要なく強制執行を裁判所に申立てることが出来るようになります。
人生の再スタートをする時に、協議離婚書として文章で残すことで、後のトラブルの防止や、約束が守られない時に泣き寝入りをしなくて済む訳であります。

Q17.離婚に伴う財産分与とは?

民法第768条に、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することができるとあります。この条文を根拠に“婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚時に清算し分配する”ことを離婚に伴う財産分与と云います。多くの夫婦が、夫が外で働き収入を得て、妻は家事、子育てのため専業主婦、あるいはパート勤務という夫婦のスタイルが大半であります。
そのため預貯金や自宅の名義が夫になっていることが多いのですが、結婚生活中に得た財産は、たとえ夫の名義であっても、妻の協力があったからこそ得た財産であるということで、その一部を妻にも与えるべきであり、それが離婚時に顕在化するのが財産分与であります。
財産分与は夫婦の話し合いによって決められるのですが、話し合いによって決める場合は口約束で終わるのではなく、離婚協議書として文章とし、あるいは公正証書として保存するなら、後々のトラブル防止になります。夫婦の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に財産分与の調停を申立てることができます。財産分与の比率に関しましては、多くの調停、審判の例によると、原則2分の1ずつというのが多いです。しかし、民法第768条にあるように、財産を得るのに、夫と妻がどれだけ貢献したかというのが考慮されるので、必ずしも2分の1になるという訳ではありません。財産分与に関しましては明確に基準があるわけではないので、家庭裁判所は当事者双方が、その協力によって得た財産の額、その他一切の事情を考慮して分与の額、及び方法を定めることになっていますので、個々の夫婦ごとに判断することになります。

Q18.離婚における慰謝料とは?

慰謝料とは民法709条、710条を法的根拠とする、相手方による不法行為をにより生じた精神的損害を賠償することを云います。慰謝料とは離婚の時だけでなく、交通事故や医療過誤等の時にも発生します。 ※民法第709条 故意又は過失によって他人の権利を侵害したる者は之よって生じたる損害を賠償する責めに任ず ※民法第710条 他人の身体、自由又は名誉を害したる場合と財産権を害したる場合とを問わず、前条の規定により、損害賠償の責めに任ずる者は財産以外の損害に対しても其の損害を為すことを要す。離婚における慰謝料とは、夫婦のどちらの責任によって離婚したかによって、その有責者が相手に対して、精神的苦痛を償うことを目的として支払われます。そのため、夫婦が離婚に至った責任がお互いにあるような場合は、慰謝料が認められない場合もあります。 離婚における慰謝料に関しては、100万円から300万円の間で決まることが多いです。しかし慰謝料に関しては相場というものがなく、さまざまな要素が考慮されるので、事例によって異なるというのが現実であります。 離婚における慰謝料に関しては相手方だけでなく、相手方と不倫をした相手に対しても請求することが出来ます。不倫相手に慰謝料請求する場合には客観的な証拠が必要になってきます。客観的な証拠がない場合、名誉毀損で逆に訴えられる可能性もあるわけであります。

Q19.時間外労働とは?

労働基準法は、労働条件の最低基準を規定しており、労働時間の上限と例外、休日の原則と例外等につき、次の大原則を定めています。 

① 労働時間は原則として1日8時間、1週40時間を超えてはならない(32条)。

② 休日は、原則として、週1回以上与えなければならない(35条)。

③ 労働時間は、原則として、実労働時間で算定する。
皆さんが会社と雇用契約を締結する際、労働時間は、個々の契約あるいは就業規則(又は労働協約)により決定されますが、上記のとおり、労基法は最低労働条件を定めているため(1条2項)、これを下回る労働契約は無効とされ、その無効とされた部分は、労基法の定める基準が適用されます(13条)。なお、これは労働者の同意があったとしても無効です。繰り返しになりますが、労働基準法は最低労働条件を定める強行法規なのです。

以上の大原則については,以下の例外が規定されています。  

① 時間外・休日労働 臨時的・一時的なやむをえない必要がある場合には、実働8時間(40時間)原則の例外として、法定時間を超えて労働させたり(時間外労働)、週1回の法定休日に労働させることができます(休日労働)。
しかし、その場合には、36協定の締結・届出が必要となります。この36協定とは、労働基準法36条が根拠となっていることから,36(サブロク)協定と一般に言われているもので、事業所(会社)の管轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。また、その場合には、法定の割増賃金の支払が義務付けられています(時間外25%以上、休日35%以上)。

② 変形労働時間制 変形時間制は、一定の要件のもと、法定時間を超える労働を所定労働として残業代無しに労働させ得る制度です。フレックスタイム制という言葉を聞いたことはないでしょうか。労基法は、フレックスタイム制以外にも、1か月単位、1年単位、一週間単位の制度を定めています。

③ みなし労働時間制 みなし労働時間制は、実労働時間のいかんに拘わらず、あらかじめ定められた時間を労働したものと「みなす」制度です。上記のフレックスタイム制は、労使間で総労働時間を決めて、これを超えて労働した部分については残業代が発生する制度ですので、その意味でみなし労働時間制とは異なります。事業場外労働(38条の2)、専門職裁量労働(38条の3)、企画職裁量労働(38条の4)の3種類があります。

④ 特例 10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業は、週44時間(ただし1日8時間が法定時間であることには変わりません。)が法定時間とされています。この他にも、労働基準法施行規則にて別段の定めがおかれています。

⑤ 適用除外 労基法では、労働時間、休憩、及び休日に関する規定がそもそも適用されない適用除外者の定めをおいています(41条)。この中で問題となるのは、いわゆる「管理監督者」です。この「監督若しくは管理の地位にある者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいうとされており、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています。判例においても、会社組織法上の管理職とは区別し、管理・監督者の範囲を限定的に判断されています。例えば、出退勤の自由がなく、部下の人事考課等の権限がない金融機関の「支店長代理」は管理監督者に当たらないとされた判決があり、参考になります。なお、適用除外者であっても、深夜割増賃金(37条)と年休(39条)は適用されますので、事業者の方は注意が必要です。

Q20.製造物責任法(PL法)とは?

製造物責任法は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です(1条)。

製造物責任という用語に相当する英語の product liability のいにしゃるを取って「PL法」とも呼ばれます。 
この法律がなかった頃は、民法に基づき損害賠償請求(不法行為又は契約責任)を行っていましたが、消費者の側で故意・過失を立証せねばならず、製造物の大量生産と技術的な高度化、あるいは国際化の中で、製造業者と消費者との間に大きな情報格差が生じるに至っている今日においては、より一層の消費者救済の必要性が高まっていました。
そのような中、平成6年に第129回通常国会において可決されたのが製造物責任法です。 
てれびの発火やかぷせる玩具の誤飲、0-157食中毒などが製造物責任が認められた判例だといえば、いめーじがつかめるのではないでしょうか。 
製造物責任法においては、被害者が製造物責任による損害賠償を製造業者等に請求するためには、その製造物に
①「欠陥」があったこと、
②「損害」が生じたこと、及び当該「欠陥」と「損害」の間に
③「因果関係」があること
を主張・立証することになります(3条)。
そして、ここにいう「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいいます(2条2項)。 
PL訴訟においては、製品起因性(当該製造物から事故が生じたこと)や、上記の「通常予見される使用形態」が争われることが多く、例えば製造業者からは「そもそもうちの製品が原因ではない。別に原因があるのではないか。」「そんな使い方をする方がおかしい。うちの製品はそういう使用方法を想定して作られた製品ではない。」という反論がなされることが想定されます。
そのような際に欠陥の立証に有用なのが、同種・類似の事故情報です。
事故情報を収集するためには、消費者庁のうぇぶさいとや事故情報でーたばんく、めーかーのりこーる情報(いくつかのりこーる情報ぽーたるさいとがあります。)、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のうぇぶさいとなどにあくせすすることになります。
これらは誰でも閲覧することができます。
また、各地方自治体の消費生活せんたーに情報が寄せられていることもあります。 
ここで、同種の事案が認められるのであれば、上記製品起因性を立証することに役立ちます。 
また、PL被害の原因究明のためには、科学技術の専門家等の支援が必要となることが多く、技術者・各種専門家、医師等と協力して検証を行う必要性が生じる事件があります。
この点、独立行政法人国民生活せんたーでは、比較的小型の製品の商品てすとを行ってくれますので、その利用を検討することも考えられます。 
製造物責任法が施行されたとはいえ、極めて専門的な知識が必要な分野ですので、未だ消費者にとっては完全な救済を得ることは困難といえます。
弁護士への相談をお勧めいたします。

Q21.労働審判とは?

労働審判制度は、解雇や給料の不払、セクハラ・パワハラなど、事業主と個々の労働者との間の個別労働関係民事紛争について、迅速・適正かつ実効的に解決することを目的として平成18年に開始された手続です。

労働問題が発生して労働者が事業主に対して何らかの請求をする場合、訴訟を選択することも可能です。
ただし、訴訟による場合、紛争解決までに長期間を要することも少なくなく、かかる労使紛争を簡易・迅速・適正に解決すべく労働審判制度がスタートしました。
開始から10年超が経過しましたが、申立件数は増加しており、個別的労使紛争解決手段としては定着したものと思われます。

労働審判は、以下の特徴を持ちます。

① 原則として3回以内の期日で紛争解決を図る
② 労働審判官(裁判官)1名と、労使の実情に通じている労働審判員2名で構成される労働審判委員会が審理を行い、判断を下す
③ 話し合いによる解決(調停)を模索し、これが不成立の場合には、労働審判委員会が労働審判を言い渡す

このように、労働審判が迅速な紛争解決を志向しているため、訴訟のように主張や証拠を小出し・後出しにすることは認められません。
したがって、申立の段階で十分に法的構成を検討し、証拠を吟味し、過不足なく書面に盛り込む必要があります。 五月雨式に証拠を出せると考えていると、あっという間に審判が終わってしまい、気がつくと負けてしまっていたという事態になる危険があります。

一方で、申し立てられた相手方にとっても、的確な反論をするために限られた時間内で十分な準備をしなければなりませんので(訴訟と違い、期日の変更はなかなか認められません。)、他の事件の予定を変更してでも対応しなければならないといったこともあります。

さて、労働審判期日ですが、訴訟のような公開の法廷でやりとりをするというものではなく、調停に近い手続きだと思っていただければよいと思います。
具体的には、ラウンドテーブルに労働審判委員会3名と申立人(及びその代理人)が着席し、提出している申立書及び証拠をもとに色々と話を聞かれます(手続は原則非公開です。)。
ついで、相手方と交代します。
1回目の期日から労働審判委員により積極的に心証開示も行われ、多くの場合は早期の段階で調停を試み、調停が成立しない場合にはその場で審判を言い渡すという運用がなされています。
70%前後が2回以内の期日で終結しているという統計もあります。
審判の内容に不服がある場合は、これに異議を出すことができます。
適法な異議の申立があったときは、労働審判は効力を失い、労働審判に係る請求は、労働審判の申立時点で訴えの提起があったものとみなされ、通常訴訟へ移行します。ただし、労働者の請求を認める労働審判がなされた場合、かかる結論が通常訴訟でも維持される可能性が高いと考えることが通常であるため、事業者側において労働審判を受け入れる可能性が高まります。
なお、労働審判法は、「労働審判委員会は、事案の性質に照らし、労働審判手続を行うことが紛争の迅速かつ適正な解決のために適当でないと認められるときは、労働審判事件を終了させることができる」と規定しており、複雑な事案の場合の手続き終了を定めています(24条終了といいます。)。

一つ注意が必要なのは、労働審判は、個別労働関係民事紛争を対象とする制度であるため、例えば、上司からパワハラを受けて損害賠償請求をする際、会社に対しては使用者責任(民法715条)若しくは労働契約上の義務である就業環境整備義務(労働契約法5条、雇用機会均等法11条1項)違反として責任追及することはできますが、当該上司は申立外ですので,当人に対して労働審判内において個人的な責任追及をすることはできません。
この場合,別途民事訴訟を提起することになります。

Q22.退院請求とは?

精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づいて「措置入院」や「医療保護入院」などの入院をしている方が退院を希望する際の手続きにつきご説明します。

精神保健福祉法38条の4に基づき、入院中の患者やその家族等は、都道府県知事に対して退院等の請求をすることができます。
ここで退院「等」というのは、退院以外にも、処遇改善措置をとるように命令することを請求したりすることもできることから、このような呼び方がされています。

まず、申し立てる先ですが、都道府県や政令指定都市が設置している精神医療審査会が窓口となっておりますので、例えば、三木市の病院に入院している場合は、退院等請求書の頭には、「兵庫県知事殿(兵庫県精神保健福祉センター気付)」と記載することになります。

申立書に定型書式はありませんので、適宜自由に記載していただいて結構ですが、請求する事項(請求者の退院等)を記載した後、請求の理由を詳細かつ説得的に書く必要があります。

その請求の理由に何を書くかですが、例えば医療保護入院の場合について申し上げますと、精神保健福祉法で医療保護入院が認められているのは、「精神障害者であって、医療及び保護のため入院の必要はあるが、自ら同意して入院する状態にない者」に限られますので、かかる要件に該当しないということを精神医療審査会に対して主張する必要があります。 具体的には、「自らが精神障害者であることを自覚、認識しているか」という病識の存在を重点的に審査されることが想定されます。
なぜなら、病識がなければ、入院に同意することもありえないからです。なお、この病識がある場合に、一般に容体が寛解したものと解されるようです。

また、審査会は、当人に病識がないために受診を拒んだり、途中で治療を中断してしまったりすることを非常に懸念しますので、仮に医療保護入院が解かれたとしても、自ら治療を継続する意向があるということを積極的に主張することが必要です。

さて、申立後、1か月から2か月程度で退院等の請求に関する審査に伴う意見聴取の実施が行われます。
病院に審査会のメンバーが訪問し、実際に請求者本人から各種ヒアリングが行われます。
その際、時間を変えて主治医(場合によっては請求者の家族)からもヒアリングが行われます。

そして後日、当該意見聴取の結果を踏まえて、審査会にて審査がなされます。
審査結果として退院が認められることもあれば、入院の継続が必要と判断されることもあります。

当然、事案により異なりますが、退院請求が認められることはあまりないという実感があります。
ただし、弁護士が代理人として退院等請求を行うことにより、病院側が審査前に自発的に患者を退院させたり、あるいは医療保護入院から任意入院(いつでも任意に退院することができる入院形態です。)への切り替えを行うことはよくありますので、それらを獲得目標として退院等請求をすることには意味があると考えられます。

Q23.建物明渡強制執行とは?

賃料不払い又はその他の事由により賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊されたとして建物明渡請求の訴訟を提起し、無事勝訴判決を得たとしても、これで終わりではありません。
賃借人が任意に明渡に応じてくれれば問題ありませんが、退去しないような場合、別途建物明渡の強制執行を申し立てる必要があります。
手続の流れとしては、以下のとおりです。
まず、執行力ある債務名義正本等を申立書に添付して、建物の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に対して申立をします。
その際、執行補助者(動産の搬出業者、保管業者、開錠技術者等、明渡事件のプロです。)を紹介してほしい旨要請しておくと、執行官が適当な執行補助者を用意してくれます。
執行の申立にかかる費用ですが、事件により異なります。
建物や退去を求める人の数に応じて増減しますが、1部屋・1人の場合は、大体6万~8万といった感覚を持っています。
事前に執行官に問い合わせるのがよいでしょう。
また、執行補助者に支払う費用ですが、これも事件により異なりますが、一般的に1LDKならば30万円程度、3LDKならば40万円から50万円程度かかります。
ただし、断行の日までに賃借人が荷物を大部分搬出している場合などは、20万円を切る費用で済んだ事例も経験があります。
執行官との打合せは、裁判所によっても異なりますが、直接の面談で行うところもあれば、アンケート形式の照会書に回答する形で、書面+電話で行う場合もあります。
目的不動産の占有状況や、執行妨害の可能性及び警察等に対する援助の必要性の有無等の聴き取りがなされます。
そして、これらの準備を済ませ、実際の強制執行手続きへと進みます。
まず、「催告」といって、申立から原則2週間以内に、執行官は、建物の所在場所へ行き、「借り主の占有を移転することを禁止すること」「催告の日から1か月を経過する日が明け渡しの期限であること」「明け渡しの期限までに占有を移転させた場合には、新たな占有者に対して強制執行を行うこと」「明け渡しの断行日」「借り主に引き渡せなかった動産について売却し処分することがあること」を内容として、催告します。
住人が不在の場合でも開錠して、室内に入り、上記の内容を記載した書面を壁等に貼って掲示します。 住人は、これによりプレッシャーをかけられますので、断行の日までに任意に退去することが多いです。
しかし催告に応じずに住人が退去しなかった場合、「断行」手続きへと進みます。
執行官、執行補助者等と建物所在場所へ行き、建物内から家具等の動産を搬出し、住人を退去させます。
その際、妨害・抵抗がある場合には、施錠を破壊したり、住人を室外へ連れ出したりといった必要限度での威力を用いることができます。
まさに「強制執行」ということです。動産搬出後、鍵を新しいものに付け替えて終了です(付け替えなければ、住人がまた戻ってきてしまうおそれがありますので、鍵は通常変えます。この鍵代も申立人が負担します。)。
この間、執行補助者の方々は非常に慣れた手際でテキパキと作業をされますので、代理人としては、安心してただ見ていることが多いです。
この時点で、執行補助者から、大体の費用の目安を教えてもらえます。 後日、保管されていた残置動産につき、売却又は廃棄の処分がなされ、執行補助者から請求書が送付されてきます。

以上の流れで建物明渡強制執行は終了し、晴れて物件があなたのもとに戻ります。 しかし、上記のとおり、強制執行にかかる費用も少額ではありません。
また、最終的な明渡しまでに時間も要しますので、収益物件の場合は、その間当該物件を遊ばせておくことになり賃料収入にロスが生じます。
ですので、明渡請求訴訟の段階で(相手方不在の事件であれば別ですが)、強制執行にかかる費用を勘案した上で、幾ばくかの立退料を支払ってでも和解で任意の明け渡しを合意する方がメリットの大きい事案も多いといえます。

Q24.刑事事件の量刑とは?

刑罰法規の各本状において規定されている刑を法定刑といいます。 
その法定刑に加重・減軽を加えて得られた刑を処断刑といいます。 
裁判官は、処断刑の枠の中で、裁量により具体的な宣告刑を決定します。 
この作業を、量刑といいます。

刑事事件において被疑者又は被告人の方と接見するときによく聞かれるのは、「ワタシ、何年でしょうか?」という質問で、これはもっともなことだと思います。 
しかし、公訴事実や証拠につき詳細に検討しなければ確定的なことは分かりません。 
また、そもそも量刑は裁判官が決定することですので、弁護士がこれに対して「何年でしょう」等と軽々しく言うことはできませんし、弁護士倫理上も言ってはならないと考えます。

とはいえ、量刑に関しては、多くの同種事案が積み重なることにより、大体の相場というものが現に存在しており、過去の判例や、第一東京弁護士会刑事弁護委員会がまとめた「量刑調査報告集」等を参考にして、「おおよその」量刑は推測することが可能です。 
ただし、世の中に全く同じ事件が存在することはありませんので、当該事件と類似の事案についての異動を吟味する必要があります。 
その際に重視すべきポイントというものもあり、例えば、窃盗について申し上げますと、被害弁償がなされているか、示談が成立しているか、宥恕があるか、被害品の還付があるか、前科の有無等が量刑判断に影響してきます。 
逆に、量刑を下げるためには、これらが弁護目標として設定されるということになります。

Q25.婚姻費用(養育費)「新算定表」とは?

内容証明郵便とは郵便の一種であり、法律的トラブルの解決手段として用いられます。またトラブルの予防にも効果的であります。普通の手紙なら相手が受け取ったかどうか証拠が無く、言葉なら言った言わないの問題が起こります。内容証明郵便は郵便局がその手紙の内容を証明し、相手に届ける手段であり、同じものを3通作成し、1通は相手方に、1通は差出人であるこちらに、そして1通は郵便局に保存します。内容証明郵便は法的な拘束力はありませんが、相手に心理的効果を与えるものであるので、弁護士は頻繁に活用するのであります。また内容証明郵便は相手方への宣戦布告でもありますので、使い方を間違えるとさらに大きなトラブルへと発展する可能性もありますので注意も必要とされます。
さらに内容証明郵便に関して詳細をお知りになりたい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

Q26.陳述擬制とは?

本人訴訟をされている方もいらっしゃるかと思います。 
訴え提起をした方(原告)であれば別ですが、ある日突然裁判所から訴状が届いたという方(被告)のために、以下「陳述擬制」につき説明させていただきます。 
訴状に同封されている口頭弁論期日呼出状には、あなたの都合に関係なく裁判の期日が指定されていますが、その日は仕事があるから行けない、あるいは遠方なので行きたくない、というご事情があるかと思います。
しかし、何もせずに放置をしていると、欠席判決を取られてしまうおそれがありますので大変危険です。
この場合、答弁書を作成して裁判所へ提出しておくと、最初の期日には出席しなくても答弁書に記載された事項を陳述したものとみなされるため、答弁書は必ず提出しておきましょう。 
すなわち、最初にすべき口頭弁論期日(第1回口頭弁論期日)に、当事者の一方が出頭しない(または出頭したが本案の弁論をしない)ときは、裁判所は、その当事者が、事前に提出していた訴状、答弁書又は準備書面に記載した事項を陳述したとみなすことができます(擬制陳述、民事訴訟法158条)。 
答弁書には、「第一回口頭弁論期日は欠席しますので陳述擬制でお願いします。」と記載して下さい。
また、事件の内容(請求の原因)に関する認否を書いてもいいですが、墓穴を掘らないように、ただ「追って認否する」とのみ記載して、弁護士に相談に行かれた方が安全かもしれません。
このように、第1回期日は被告に予定を確認することなく設定されますので、陳述擬制を利用すべく答弁書を提出し、被告は欠席するということは多く見られます。

なお、原告が欠席するということはあまり見られませんが、仮に当事者双方が欠席して次回期日が指定されずに当該期日が終了した場合(「休止」といいます。)、それから一か月以内に期日指定の申立がされなければ、訴えの取下げが擬制されます(263条)。

ここで気をつけなければならないのは、この陳述擬制が働くのは、最初にすべき口頭弁論期日に限られるということです。
二回目以降では陳述擬制は働きませんので注意して下さい(ただし、簡易裁判所においては続行期日でも準備書面の陳述擬制が働きます。)。 
陳述擬制が働くと、その後、裁判所から連絡があり、次回の期日調整がなされることとなります。 
事案にもよりますが、本人訴訟を行うのはなかなかに困難なことです。
訴状が届いたら、速やかに弁護士へ相談することをお勧めします。

Q27.弁護士費用とは?

弁護士は敷居が高いと未だ思われがちですが、その理由の一つとして、やはり費用の問題があるのではないかと考えます。「弁護士にお願いするとすごく高いお金を取られるんじゃないか」と考え、法律事務所に相談することに二の足を踏む方もおられるのではないでしょうか。

ここでは、弁護士費用につきご説明させていただきます。

従来、日本弁護士連合会が「日弁連報酬等基準」というものを作成しており、弁護士はこれに従って着手金や報酬を算定していました(着手金・報酬の別については後述します。)。そして、これに反する報酬を得ることは、懲戒事由にもなりえました。

しかし、このように日弁連が弁護士報酬規程を会則として規定することが(そして上記のとおり、違反する場合に懲戒事由とすることにより拘束力を与えていることが)、独占禁止法上の不当な取引制限に該当するのではないかという話になり、平成16年4月1日から、日弁連報酬等基準は廃止されました。これにより、弁護士報酬は自由化されたということになり、以後、弁護士は自由に料金を定めることが可能となりました。

ですので、同じ事件でも(例えば債務整理や離婚事件)、法律事務所によって料金が異なる場合があり、複数の法律事務所のホームページを比較されるとそのことがお分かりいただけるかと思います。

以前、受任した刑事事件で、事件終了後に、「実はそちら(当事務所)に相談に行く前に別の法律事務所にも相談に行ったのだが、そこでは倍以上の着手金(と報酬)を告げられたため、そこの事務所にお願いするのを諦めていたら、そうこうするうちに逮捕された。」という方がおられました。

弁護士により業務のやり方も大きく異なりますし、依頼者との相性やフォローの仕方も様々ですので、この業界では必ずしも価格競争が消費者の利益に直結するとは考えられません。それは、債務整理等の比較的定型的な業務でも同じことだと思います。皆様におかれましては、複数の法律事務所を当たってみて、費用に納得した上で、「この弁護士なら信用できる。」と感じた弁護士に依頼されることをお勧めします。

さて、報酬の説明に話を戻しますが、弁護士にかかる費用としては、通常、着手金と報酬の二段階となることが多いと言えます(自由化の波を受けて、交通事故等においては着手金を廃し、完全成功報酬としている事務所も増えてきました。)。

着手金というのは、受任後直ちにお支払いいただくもので、事件の運転資金となりますので、紛争解決の成否に関わらず、原則お返しできない性質のものです。これに対して報酬とは、文字通り「成功報酬」のことで、事件が終了した段階で、依頼者が得られた利益(これを「経済的利益」といいます。)の何%という形で算定いたします。このパーセンテージに関し、各法律事務所によって区々となる場合があるでしょう(とはいえ、「(旧)日弁連報酬等規程による」ということにしている法律事務所も多いです。)。

弁護士に依頼される場合には、きちんとこの報酬についての説明を受けるようにして下さい。また、委任契約書の中には、かかる報酬についての条項があり、具体的な数字やその算定方法が記載されていますので、その部分をよくチェックし、不明な点がある場合には、必ず弁護士に質問して説明を受けるようにして下さい。

Q28.不貞慰謝料請求における相場とは?

内容証明郵便とは郵便の一種であり、法律的トラブルの解決手段として用いられます。またトラブルの予防にも効果的であります。普通の手紙なら相手が受け取ったかどうか証拠が無く、言葉なら言った言わないの問題が起こります。内容証明郵便は郵便局がその手紙の内容を証明し、相手に届ける手段であり、同じものを3通作成し、1通は相手方に、1通は差出人であるこちらに、そして1通は郵便局に保存します。内容証明郵便は法的な拘束力はありませんが、相手に心理的効果を与えるものであるので、弁護士は頻繁に活用するのであります。また内容証明郵便は相手方への宣戦布告でもありますので、使い方を間違えるとさらに大きなトラブルへと発展する可能性もありますので注意も必要とされます。
さらに内容証明郵便に関して詳細をお知りになりたい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

Q29.使用貸借とは?

内容証明郵便とは郵便の一種であり、法律的トラブルの解決手段として用いられます。またトラブルの予防にも効果的であります。普通の手紙なら相手が受け取ったかどうか証拠が無く、言葉なら言った言わないの問題が起こります。内容証明郵便は郵便局がその手紙の内容を証明し、相手に届ける手段であり、同じものを3通作成し、1通は相手方に、1通は差出人であるこちらに、そして1通は郵便局に保存します。内容証明郵便は法的な拘束力はありませんが、相手に心理的効果を与えるものであるので、弁護士は頻繁に活用するのであります。また内容証明郵便は相手方への宣戦布告でもありますので、使い方を間違えるとさらに大きなトラブルへと発展する可能性もありますので注意も必要とされます。
さらに内容証明郵便に関して詳細をお知りになりたい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

Q30.債務不存在確認訴訟とは?

通常の訴訟は、ある物の給付を求めたり、ある物の存在を確認したりという形態をとりますが、時には、ある物(あるいは権利)が存在しないことを確認することが有用である場合があります。

例えば、いわれのない請求を長期に渡り受けている場合(クレーマー案件)、裁判所により当該債務が存在しないことを公的に確認してもらうことにより紛争を解決すべき場合があります。
このようなときに提起するのが、債務不存在確認訴訟です。

この訴訟の特色は、実体法上の債務者が原告、債権者が被告となるところ、この場合の原告は権利の発生を主張すべき実体法上の地位を有しませんので、権利の発生原因は被告たる債権者が抗弁として主張立証することになります。
したがって、債権者からすると、応訴を余儀なくされ、主張立証をせざるを得ない立場に置かれますので、このことをもって「消極的確認訴訟の提訴強制・先制攻撃的機能」と呼ばれることがあります。

クレーマー気質の人間は、訴外で執拗に請求を繰り返す一方、自ら法的手続きをとることは少ないという傾向がありますので、嵐が通り過ぎるのをただ待つだけでは、いつまでもいわれのない請求にさらされ続けて疲弊していく一方です。
このような案件において、債務不存在確認訴訟が効果を発揮することとなります。

なお、クレーマー案件以外にも、例えば交通事故の事件において、保険会社の側が、「〇〇円以上の債務がないことを確認する」という形で、一部債務を自認した上で残額が存在しないことの確認請求をしてくることがあります。
被害者が通院継続中で未だ症状固定に至っていないと考えている場合であっても、とにかく応訴しなければなりませんので、各種資料の収集に困難がつきまといます。

そのような場合には、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。 債務不存在確認請求はイレギュラーな訴訟類型といえますので、(通常の訴訟でもそうですが)ご自身で手続きをされるのはより一層難しいのではないかと思われます(例えば、そもそも訴状に記載すべき債務の特定の段階から躓く場合が多いのではないでしょうか。)。

お困りの際は、シャローム綜合法律事務所までご相談下さい。

Q31.期限の利益とは?

法律用語で意味がよく分からないというものが沢山あると思います。

「善意」「悪意」「果実」等々。ここでは、その中でも比較的皆様が耳にすることの多い「期限の利益」についてご説明します。

期限の利益(きげんのりえき)とは、ローン契約等の消費貸借契約を締結する際に、弁済期限が来るまでは債務の履行を請求されないという、債務者のための利益のことです(民法136条1項)。 
例えば、4月1日に知人から弁済期1年後という契約内容で100万円を借りた場合、1年後の4月1日が弁済の期限ということになりますが、この間、借主は100万円を自由に使えるという利益を享受します。
すなわち、弁済期が到来するまでの間は、貸主から100万円の返還を請求されることもありませんので、借主は、これを費消しようが、他人に貸そうが自由ということになります。
このことを指して、「期限の利益」と言います(もっとも、先に期限の利益は債務者の利益と述べましたが、この消費貸借契約が利息付きのものであった場合は、期限までの間の利息を取得することができるという意味では、貸主の側にも利益があるといえます。)。

さて、期限の利益で重要なのは、「期限の利益の喪失」です。
債務者(借主)がその信用を失うような事態が生じた場合、例え弁済期までにまだ猶予があるとしても、貸金を直ちに弁済をしなければならなくなる場合があります。
このことを指して、「期限の利益を喪失した。」と言います。民法では、期限の利益の喪失につき、次のとおり規定されています。 137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。

一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき 

二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき 

三 債務者が担保を供する義務を負う場合においてこれを供しないとき 

いずれの場合も、債務者の信用が失われたと判断できる状況であり、このような場合にも債務者に期限の利益を継続して保持させて、契約上の弁済期まで債権者は手をこまねいてみていなければならないとすると、事実上債権の回収が不可能になってしまいます。
ですので、以上の三つのケースに該当することとなった場合、債務者は期限の利益を喪失して、直ちに弁済をしなければならないこととなります(つまり、債権者は「今すぐ返せ」と法的に言えるようになるということです。)。
実際には、上の3つの場合以外にも、個別の契約で、一定の事実があれば期限の利益を喪失する旨の特約がなされることが多いです。
この特約を指して、「期限の利益喪失約款」といいます。 例えば、「3回以上、支払が期限を徒過するようなことがあれば、残金を一括して支払わなければならない。」という内容です。
あるいは、「他の債権者から差押を受けた場合には直ちに期限の利益を失う。」という内容もよく見られます。

さて、期限の利益を喪失して残債務の一括請求が来た場合には、これを弁済しないことには後々厄介なことになるおそれがあります。
放置している間に債務名義を取られ、気がつくと資産が差し押さえられたりということになる前に、先手先手の対策が必要です。
債務整理をお考えの方は、当事務所までご相談下さい。

Q32.親族相盗例とは?

「息子が勝手に通帳と印鑑を持ち出して引き下ろした! 窃盗罪で告訴できませんか!?」というようなご相談を受けることは少なくありません。
実の子を訴えるなどとはただ事ではありませんが、家族内の出来事であるからこそ、簡単に距離を取ることもできず、また長年に渡って問題が継続発展してきたという経緯が存在することから、事態は深刻な状態になっていることが多いといえます。

それでは、子供を告訴して刑事的責任を負わせることはできるのでしょうか? 

刑法には、親族相盗例(しんぞくそうとうれい)という規定があります。条文を見てみましょう。 (244条) 

1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3 前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

ここにいう235条の罪とは、窃盗罪です(ちなみに、235条の2の罪は、不動産侵奪罪です。)。 
つまり、配偶者や直系血族(子、孫)があなたの財産を窃取した場合(未遂を含みます。)、その刑は免除されてしまうということが刑法によって規定されているのです。
本条は、詐欺罪、恐喝罪、横領罪、背任罪にも準用されています(251条、255条)。 
この条文の法的性質については、様々な議論があるところですが、「家庭内の紛争には国家が干渉しない方がよい」という法政策に基づくものであって、行為の違法性や責任とは無関係の一身的刑罰阻却自由を定めたものであるという見解が通説・判例です。
簡単にいえば、「法は家庭に入らず」ということです。 
また、第2項に規定されているとおり、窃盗等を行ったのが、配偶者、直系血族又は同居の親族以外の親族の場合は、刑は免除されずに、被害者が告訴した場合のみに処罰対象とされます。
いわゆる親告罪ということです。

なお、兄弟姉妹間(傍系血族です。)で親族相盗例に該当する行為があった場合には、同居しているか否かが問題になります。
第1項が、親族相盗例の適用がある場合として、「同居」の親族を挙げているからです。
つまり、兄弟姉妹が同居している場合には、刑は免除され、同居していない場合には、被害者が告訴すると罪に問われる可能性があるといえるでしょう。
ですので、実質的な被害者は誰であるのかという点がポイントとなってきます。最初のご相談者の質問との関係でいえば、財物を盗まれた被害者が親ではなく、兄弟であって、かつ、その兄弟が別居しているのであれば、罪に問われる可能性はあるでしょう。 
家族間でのトラブルはないにこしたことはないのですが、家族だからこそ、時としてその対立は激化することとなります。
親族相盗例に関しては、親族関係の必要な人的範囲の問題(例えば、共犯者がいる場合などのケースです。)や、錯誤の問題(例えば、父親の物だと思って盗んだら、実は父親が他人から預かっていた物だったというケースです。)など、複雑な論点があります。

詳しくお知りになりたい方は、シャローム綜合法律事務所までお問い合わせ下さい。

※ ところで、殺人罪や傷害罪、暴行罪といった生命身体に対する罪や、強盗罪、強制性交等罪、放火罪などの罪には親族相盗例は適用されませんのでご注意下さい。このような場合には、速やかに警察に通報し、弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

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